会社の共有フォルダ整理に「生成AI」を使ってはいけない理由

「AIで会社の共有フォルダを整理できたら、楽なのに」

近年、生成AIの進化とともに、こんな声を耳にする機会が増えてきました。たしかに、生成AIは驚くほど多くのタスクをこなしてくれます。

しかし、これまで継続的なIT支援者として同じ会社を数年単位で見続けてきた経験や、公共機関のIT専門相談員として数十社の事例に触れてきた経験から、はっきりお伝えしたいことがあります。

「会社の共有フォルダ整理は、生成AIに任せてはいけない」

これは、AIの性能が足りないという話ではありません。むしろ、AIがどれだけ進化しても、本質的に”人間にしかできない領域”だからです。

この記事では、なぜ共有フォルダ整理を生成AIに任せてはいけないのか、その理由と、本当に必要なアプローチを、現場の生の声とともに解説します。


なぜ生成AIに共有フォルダの整理を任せてはいけないのか

理由① 現場には「簡単には動かせない事情」がある

会社の共有フォルダには、多くの従業員が日常的に関わっています。そのため、個人のPCとは異なり、「ちょっと整理してみました」では済まない事情が山ほど存在します。

例えば、こんな声は現場でよく聞かれます。

「昔からこのフォルダ構成で運用しているから、変に変えられたら困る!」

「○○さんが独自のルールで管理しているから、そこは触らないようにしているんです……」

「このフォルダ名、おかしいと思うけど、取引先との共有に使っているから変えられない」

これらはすべて、組織の文化・慣習・人間関係が絡み合った「現場の切実な声」です。生成AIがいくら論理的に「最適なフォルダ構成」を提案しても、こういった事情は一切読み取ることができません。

同じ会社を数年単位で継続的に支援してきた経験から言えるのは、**「現場の事情を無視した整理は、必ず半年以内にリバウンドする」**という事実です。


理由② 構成の検討には「関係者との対話」が不可欠

共有フォルダの整理では、まず「どういう軸で情報を整理するか」を決める必要があります。

例えば、

  • 部署ごとに情報を整理するのか
  • 商品・サービスごとに整理するのか
  • 顧客ごとに整理するのか
  • 業務プロセスごとに整理するのか

これは会社の業務フローや組織構造によって大きく異なります。また、「今はAの方法で整理しているけれど、本当はBの方が合理的ではないか」という議論が必要になる場面も多々あります。

こうした判断は、経営陣・管理者・現場スタッフそれぞれの視点を持ち寄って初めて「その会社にとっての正解」が見えてきます。生成AIにこの対話の代わりは務まりません


理由③ 「納得感」がなければ、整理しても使われない

仮に論理的に完璧なフォルダ構成を作ったとしても、現場のスタッフが「なぜこの構成なのか」を理解していなければ、すぐに元の使い方に戻ってしまいます。

整理した直後は綺麗でも、半年後には「また散らかっている……」という状態になるのは、こういったケースが多いです。

本当に機能するフォルダ整理とは、「なぜこの構成が良いのか」を丁寧に説明しながら進め、現場の方に納得してもらうプロセスそのものが重要なのです。


「料理人のレシピ」に例えると、よくわかる

ここまでの話を、料理に例えてみましょう。

世界一流のシェフが、完璧なレシピを持っているとします。素材の配合も、調理時間も、盛り付けも、全て計算し尽くされた一皿です。

このレシピを、ある家庭の食卓に持ち込んだらどうなるでしょう。

  • お父さんは辛いものが苦手
  • お母さんは乳製品アレルギー
  • 子供はピーマンが嫌い
  • おばあちゃんは硬いものが食べられない

レシピ通りに作っても、誰も食べてくれない料理ができあがります。

本当に必要なのは、「この家族の好み・体質・事情を知った上で、レシピをアレンジできる人」です。


共有フォルダ整理も、全く同じ構造です。

生成AIが出してくるのは、「世界一流シェフのレシピ」のようなもの。論理的には完璧かもしれません。しかし、その会社の文化・慣習・人間関係を知らない状態で出された”完璧な構成”は、結局誰にも使われないのです。

必要なのは、その会社の事情を知った上で、論理とのバランスを取れる人間です。


AIを「使っていい場面」と「使ってはいけない場面」

ここまで「生成AIに任せてはいけない」とお伝えしてきましたが、これは”AIを一切使うな”という意味ではありません

使い分けが重要です。

⭕ AIを使って良い場面

① 個人PCのフォルダ整理

自分一人しか使わないPCのフォルダであれば、生成AIに相談しながら整理するのはアリです。自分の業務スタイル・自分の感覚に合わせて使えばいいだけなので、組織の事情は絡みません。

② 共有フォルダの「戦略を練る段階」での相談

共有フォルダの整理を始める前に、「こういう業種で、こういう規模の会社なんだけど、一般論としてどういうフォルダ構成が考えられる?」と叩き台を出してもらうのは有効です。

あくまで「議論のたたき台」として使う分には、生成AIは優秀なアシスタントになります。


❌ AIを使ってはいけない場面

共有フォルダの「実際の整理作業」を、AIに任せること

ここは絶対にNGです。

  • 「AIに最適な構成を出してもらったから、このまま反映しよう」
  • 「AIが推奨する順番で、実際のフォルダを作り替えよう」
  • 「AIに分類を全部やらせて、実際の資料を移動させよう」

これらは、ほぼ確実に失敗します。理由はここまでに述べた通り、現場の事情・人間関係・文化を読み取れないからです。


本当に必要な3つのこと

では、会社の共有フォルダを整理するうえで本当に必要なことは何でしょうか。

① 会社の実態・慣習・人間関係を踏まえた構成の提示

単に「綺麗なフォルダ構成」ではなく、「その会社が実際に使い続けられる構成」を提案することが重要です。そのためには、事前に現場スタッフへのヒアリングを丁寧に行うことが欠かせません。

② 「なぜこの構成か」を説明しながら進める納得感の提供

フォルダ整理は「やってもらうもの」ではなく、「一緒に考えるもの」です。担当者が構成の意図を理解していれば、整理後も正しく運用され続けます。

③ 一緒に手を動かすことで、リアルなスキルを学ぶ機会の提供

実際に画面を見ながら一緒に作業することで、「なんとなくわかった」ではなく「自分でもできる」という感覚が身につきます。これが、整理後の運用定着に大きく影響します。


まとめ

会社の共有フォルダ整理は、「ツールの問題」ではなく、「人と組織の問題」。

生成AIは、「理屈でフォルダを整理する」ことは得意です。しかし、組織の実態・慣習・人間関係を踏まえた「その会社にとっての最適解」を導き出すには、現場との対話と長年の実務経験が欠かせません。

  • 個人PCなら、AIに相談して整理するのもアリ
  • 共有フォルダの戦略相談も、AIをたたき台として使うのはアリ
  • しかし、共有フォルダの実際の整理作業を丸ごとAIに任せるのは絶対にNG

この線引きを誤ると、「せっかく整理したのに、半年後にはまたぐちゃぐちゃ」という事態が待っています。

当事業所では、長年の「会社の共有フォルダ整理」の実務経験をもとに、生成AIでは実現できない、納得感と定着力のあるフォルダ整理支援を提供しています。

「うちの会社のフォルダ、どうにかしたい……」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


さらに深く知りたい方へ

実際にフォルダ整理をやってみたいなら、当事業所による「フォルダ整理ノウハウサイト」をご覧ください。

プロへ相談してみたい方へ

下手に自分でフォルダ整理に着手せず、プロのコンサルティングを踏まえて丁寧にフォルダ構築・整理を進めたいとお考えの方は、こちらをご確認ください。

ご相談はこちらから!
目次