当事業所では、各種「補助金」の申請支援を可能としておりますが、いわゆる「補助金コンサルタント」として「手続に詳しく採択を勝ち取りに行く専門家」ではありません。あくまで、「補助金活用にあたっての前提となる投資活動について、その投資内容が経営面から考えて妥当か」の投資判断を行う専門家です。
このように、当事業所の「補助金申請支援」は少し特殊なアプローチとしていることから、ここではその内容を紹介します。
結論から申し上げると、当事業所としては「補助金の活用をオススメしないケースがほとんど」という理解とスタンスでおります。
「手続」面で見る補助金制度のリアル
そもそも「補助金」とは、「お金をもらえるんでしょ?」というご理解で興味を持たれる事業者さまがとにかく多いですが、実際はそのような単純なお話ではありません。実際には、
「とにかく、国や都道府県に提出する書類が多い」
「その書類も、正確無比でなければならない(提出し直しは当たり前)」
「補助した金額の一部の返還が求められる可能性がある」
「お金を実際にもらえるのは、相当時間が経ってからの話」
というものであり、補助金獲得を目指す事業者さまの多くが「こんなに大変だとは思っていなかった…!」「こんな落とし穴があるとは思っていなかった…」という印象を受ける類のものです。
このような「大変さ(面倒さ)」を耐えきれる「覚悟」や、それをこなす「業務スキル(リテラシー)」がある事業者さまについてのみ、補助金制度の活用は「検討の余地がある」と言えると考えています。つまり、「補助金制度の活用が合っている事業者さまと、そうでない事業者さまがある」ということです。
いずれにせよ、当事業所としては補助金に関して質問を受けた場合、まずは「とても大変ですよ」という説明から行うこととしています。
「経営」面で見る補助金制度のリアル
本来、補助金とは「経営面から考えて投資が必要だから補助金をもらう」という趣旨の制度です。しかし、多くのケースにおいて、「補助金がほしいから投資を行う」という真逆の発想(本末転倒)になってしまっている事業者さまが非常に多いです。
そういったアプローチでの投資活動は、「無駄な投資となる」「その投資のために金融機関から借り入れた金額の返済に苦しむ」といった結果に至る可能性が非常に高いです。本来は、
「検討している投資内容は、経営戦略・事業戦略の内容に沿っているか?」
の検討から始まり、そこから更に
「数字(金額)面できちんと費用対効果を確認出来るか?(キャッシュフロー観点)」
という検討を綿密に行う必要があります。
こういった検討を十分に行わない事業者さまが多く、つまり「補助金に目がくらんだおかげで、無駄な設備投資が増え、資金繰りに窮している事業者さまが多い」という実態があります。
更に言えば、そういった検討が重要であることを十分に説明せず、フィー欲しさに補助金制度の活用を勧める補助金コンサルタントが多いこともまた事実です。
【結論】一度立ち止まりましょう
以上のように、当事業所が仮に事業者さまから補助金活用や補助金申請支援のご相談を受けた場合は、まずは「経営面から見て正しいか」の検討から行うこととしています。
その検討内容は、上述の「戦略に沿っているか」と「費用対効果があるか」といった論点だけでなく、
「自社での投資ではなく、外注先の活用ではダメなのか(むしろその方が望ましいという可能性はないか)」
といった論点まで含みます。
このように検討していくと、結果として当事業所では「補助金申請支援を実施しない」という結果に至ることがほとんどです。事業者さまにおいても、上記観点で一度冷静に立ち止まってみることをオススメします。